2009年8月21日金曜日

Perseverance: True Voices of Cancer Survivors
by Carolyn Rubenstein(2009)

カロリン・ルーベンシュタイン著「癌を克服させた辛抱強さ」
癌を闘い抜き、みごとに克服した20名の若者の体験談

癌とは一般的には、老人病の1つだと解されている。しかしながら、元気な若者
でも、小さな幼児でもかかる特殊な癌、例えば白血病や脳腫瘍であるグリオーマ、
NF(神経線維腫症)、TSC (結節性硬化症 ) などがある。

治りそうもない癌を克服して、ツア・ド・フランスを7連覇した有名なサイクリスト、
ランス・アームストロングのごとく、多くの若者たちが癌の恐怖を乗り越え、
辛抱強く病気を克服し、彼らの人生の夢をみごと実現してきた。ハーバード
大学の院生(専門は臨床心理学)である著者が、白血病、脳腫瘍、ホジキンス
リンパ腫などの小児癌を克服した20名の若い癌生存者の感動的な体験談を、
1冊の本にまとめて出版し、英米で飛ぶように売れている。

制癌剤というものは、他の薬でもそうだが、患者が前向きの姿勢で、その病気と
立ち向かう場合にのみ、治療効果を発揮しうるものである。面白いことには、我々
の脳内には、2、3種類の内在性の抗腫瘍作用をもった物質(ホルモン)が存在
し、患者が病気を克服しようと努力する時のみ、活性化して、薬剤と相乗効果を
発揮しうる。著者はわずか14歳で、NPO「CCC」(癌の子供たちを支える会)
を立ち上げて以来、10年近い密な活動や体験から、そのような精神力の果たす重要
かつ不思議な働きを実感していた。

この本を読んで、読者一人一人が、年の相違にかかわらず、癌を自力で克服すべく、
ここに登場する人物たち自身の涙ぐましい体験から勇気と活力を汲み取れることを、
私は大いに期待している。一例として第9章を挙げれば、ザック・ヨークは、脳腫瘍の手術を
17回も繰り返し受けたのち、その後遺症をものともせず、自分の松葉杖を登山向けに
改良した後、(アラスカのマッキンレー山につぐ)米国本土内最高峰のホイットニー山(海抜4350
メートル、カルフォルニア州)の登頂にみごと成功した。私自身も登山家だから、その快挙の困難さが
良くわかる。彼はさらに将来、アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ(海抜5900メートル)
にも挑戦する計画を抱いている。そのような山岳ドラマが映画化されヒットすれば、
その売り上げの一部を脳腫瘍などの難病に効く新薬の開発研究への補助金や癌に苦しんだ
子供たちを助ける奨学金にあてることができるからだ。。。

私は小児癌にかかった経験はないが、敗戦後まもなく、小学4年の春、小児結核で、
数か月自宅療養を強いられた。当時、肺結核は癌と同様、死をもたらす恐ろしい
病気だった。幸い、駐留軍からもらった「パス」という特効薬のおかげで、死に
至らず、復学した。しかし、小学校を卒業するまで、丸2年間半、いわゆる「激
しい運動」をすることを禁止され、体育の授業時間はいつも校庭の隅に座って見
学を強いられた。だから、クラスメートと一緒に放課後、野球やサッカーを楽し
んだ経験がない。孤独の中から、運動不足を補うために、アルピニストだった父
親の勧めで、登山を始めた。登山やマラソンは緩慢な運動で、肺活量を必要とす
る激しい運動ではない。そして、雪を頂く北アルプスの山々に魅せられ始めた。
以後、半世紀以上、私は病気らしい病気にかかったことがない。そして、(一度
死線を越えた人間に共通な)「冒険好き」になり、海外生活をもう35年以上も
続けているが、淋しいと思ったことがない。

もう25年以上昔の話だが、私が南ドイツの国境の山々に近いミュンヘンのマックス・
プランク研究所で、癌研究をしていた頃、私の院生の一人が白血病と闘っていた。彼は
数年後に完治し、博士号を取得し、現在スウエーデンのある大学で教授として、医学関
係の研究を続けている。ちょうど同じ頃、トムという私の親友で、米国のジョンス
ホプキンス大学医学部教授をしていたボストン・マラソンの常連が突然、癌になった。
彼も自分の研究を続けながら癌の治療にも励み、数年後に完治すると、家族(妻、娘、
息子)と一緒に、念願のヒマラヤ登山をやってのけた。この本は、そういう昔の知人たちを、
私の脳裏に懐かしく思い浮かべさせる。。。 

トムについては、もう1つ大事なことを付け加えておきたい。彼は1970年代初
頭、ハーバード大学医学部を卒業して、ワシントン市郊外にあるNIHという医
学総合研究所内にあるエド・コーン博士の研究室で、ある土壌アメーバから、珍
しい単頭のミオシンを発見した。ミオシン線維はATPaseの一種で、一般に、
アクチン線維によって活性化されて、ATPを分解しながら、その化学エネルギー
を運動エネルギーに変換して、筋肉収縮や細胞分裂に必要な動力を提供する。と
ころが、このアメーバの単頭ミオシンは線維を形成しないどころか、アクチン線
維に接触しても活性化されない、非常に奇妙な分子だった。やがて、トムはこの
ミオシンの活性化に必要な別の蛋白を見つけて「コファクター」と名付けた。し
かしながら、この「コファクター」が一体何者なのか知らぬまま、母校ハーバー
ドに戻って助教授に就任した。

1974年に彼と入れ違いに、私がコーン博士の研究室にポスドクとして加わり、
この「コファクター」の正体を生化学的に暴く仕事を任された。
2、3年の研究の末、その正体をやっと突き止めた。単頭ミオシンの重鎖を燐酸
化する珍しい酵素(キナーゼの一種)だった。それから、17年後に同様なキナー
ゼが哺乳類にもあることが判明し「PAK」と名付けられた。そして、今日、こ
の「PAK」がヒトの癌の7割以上の増殖や転移などに必須であることが確認さ
れている。従って、プロポリスなど種々の「PAK」遮断剤が、これらの癌の特
効薬になることは極めて明白である。もし、35年ほど昔、トムが奇妙な「コファ
クター」の存在に気づかなかったら、今日のめざましい癌治療薬への開発研究は、
相当遅れていただろう。。。

アメリカ人には珍しく、トムの座右の銘の1つに「土曜日に仕事をせよ!」という
言葉がある。幸運が訪れるからだそうだ。あの「コファクター」を見つけたのも、
ある土曜日の午後だった。。。

Review

“Incredibly life affirming and inspirational. I loved it!”
--Peter Walsh, New York Times bestselling author of It’s All Too Much! and Enough Already

“Perseverance will move you to tears, teach you to appreciate, and inspire you to persevere.”
--Tal Ben-Shahar, New York Times bestselling author of Happier and The Pursuit of Perfect

“Perseverance puts a very human face on courage and strength. Carolyn and the young people she has worked with are an inspiration to us all.”
--Gay Hendricks, New York Times bestselling author of The Big Leap and Conscious Living

"With tremendous respect and grace, Carolyn Rubenstein tells the stories of twenty survivors of childhood cancer -- in their own words. Through these real-life tales of survival, Perseverance offers not only great hope to those battling illness or caring for a loved one but also profound insight for all of us seeking to lead a meaningful life."
--Daniel H. Pink, New York Times bestselling author of A Whole New Mind

2009年8月16日日曜日

癌や難病を、天然の「抗PAK」パワーで治そう!

著者: 丸田  浩(薬学博士、元ルードビッヒ癌研究所制癌剤開発部長)

目次

はじめに

1。 PAKとは何か? 癌との接点?

2。 PAKをいかに遮断するか?

3。 PAKと稀少難病

4。 天然の市販「PAK遮断品」

4ー1)四川省特産「花椒エキス」
4ー2)プロポリス                   
4ー3)カプサイシンとその誘導体              
4ー4)クルクミン                     
4ー5)ブドウ療法: 癌と糖尿病              
4ー6)苦瓜と岩弁慶エキス                     
4ー7)納豆由来のビタミン 「K2 」 (メナキノン-7)
4ー8)韓国の発酵味噌「ドエンジャン」
4ー9)重楼 (パリス・ポリフィラ) 根茎
4ー10)霊芝エキス
4ー11)謎の伝承制癌剤「ウクライン」
4ー12)制癌作用のある駆虫剤「イベルメクチン」
4ー13)DPM (ジピリダモール): 廉価で安全な合成PAK遮断剤

5。 PAK遮断剤の新規なスクリーニング法

6。 PAK依存性の腫瘍を伴わぬ難病

はじめに

私の専門分野は、「分子腫瘍学」という呼ばれる分野に属し、悪性あるいは良性
の腫瘍の発生原因やその進行メカニズムを分子レベルで解明し、さらにその治療
薬を発見、開発するための研究を主に担当する社会的使命を担っている。しかし
ながら、その研究の過程で、腫瘍以外のいくつかの難病(例えば、エイズ、アル
ツハイマー病、老化、リューマチや喘息などの炎症、癲癇、メタボや肥満症など
) も、分子レベルでは、癌と同じような (共通な) 原因やメカニズムで起こって
いることが、最近になって次第に判明してきた。それでは、我々の健康を脅かし、
癌やその他の難病をもたらす悪玉は一体何なのだろうか? それは驚くなかれ、
我々の身体の中で不断は静かに機能している「PAK」と呼ばれる一種の酵素 (蛋
白キナーゼ) なのである。その酵素が色々な外因 (例えば、ある特定の遺伝子の
変異や発癌性ウイルスあるいはピロリ菌などによる感染など) で突然異状に活性
化されると、癌やその他の難病を引き起こし、我々の寿命を色々な形で縮めよう
とするのである。しかしながら、幸いにも我々を取り巻く自然界(例えば、畑や野山)には、
その「悪玉」の機能を強力に遮断するパワーを持つ無数の天然食品(野菜や果物)、
生薬や抗生物質の源が無限に存在する。それらの天然物のいくつかをここで紹介して、
癌や他の難病の予防あるいは治療にできるだけ寄与してみよう、というのが
このユニークな本を出版した主な目的である。

1。 PAKとは何か? 癌との接点?

我々の身体を構成している無数の細胞が、外界の色々な刺激に対応しながら正常に
増殖し、いわゆる「ホメオスタシス」(バランスのとれた健康なハーモニー)を
保つために、無数の「シグナル伝達因子」と呼ばれる蛋白質群が絶えず働いてい
る。その中には、細胞の増殖を速めるものもあれば、逆に増殖を適度に抑えるも
のもある。この「シグナル伝達因子」群の中で、重要な機能を果たしている酵素
群の1つに「蛋白キナーゼ」と呼ばれるものがものがある。種々の「蛋白キナー
ゼ」が持つ共通の機能は、ATP (アデノシン5三燐酸)の一番末端にある燐酸
基を、その下流にある特定の他の蛋白(基質)のセリン、スレオニン、あるいは
チロシン残基に結合(転移)させることによって、その蛋白の機能を制御 (活性
化あるいは不活化) する反応を触媒することである。この燐酸基は負の電荷を帯
びているので、燐酸化されたアミノ酸は、あたかも(負の電荷を持つ) グルタミン
酸あるいはアスパラギン酸に変異 (置換) されたかのように、振る舞うようにな
るからである。さて、燐酸化を受けるこれらの蛋白も「シグナル伝達因子」であ
る場合が多い。従って、燐酸化は、細胞の増殖をコントロールする重要な「シグ
ナル」(スイッチ)の役割を果たしているわけである。PAKとは、細胞の増殖、生死、
運動などをコントロールする要の蛋白キナーゼの1つである。 さて、蛋白キナーゼ群が
癌の研究分野で特に注目され始めたのは、1980年前後である。理由は次の通り
である。

1976年に癌化のメカニズムを、分子レベルで明解に説明しうる画期的な発見
が、米国の発癌ウイルスを研究するチームによってなされた。サンフランシスコ
にあるカルフォルニア大学(UCSF)のマイク・ビショップとハロルド・ヴァー
マスが、発癌性のラウス肉腫ウイルスのゲノム中にある発癌遺伝子「VSRC」
が、正常細胞中にある遺伝子「CSRC」の変異体であることを見つけた (1)。
この発見の意味はそこぶる重大である。つまり、正常な細胞中のある特定の遺伝
子が外界の何か (例えば、紫外線や発癌剤など) によって変異 (異常活性化) を
受けると、癌化する(癌細胞に豹変する) という新しい概念を生み出したからだ。
しかしながら、その後2、3年、SRCという遺伝子が作る蛋白の正体がさっぱ
りわからなかった。ところが1978年になって、当時コロラド大学医学部(デ
ンバー)の教授だったレイモンド・エリクソンが、SRC蛋白はどうやら、蛋白
キナーゼの一種であることを突き止めた。試験管内で自分自身を燐酸化しうるか
らである。

1980年前後に、サンディエゴにあるソーク研究所の英国人トニー・ハンター
が更に驚くべき現象を発見した。SRCが、例えば蛋白「ヴィンキュリン」のな
んとチロシン残基を特異的に燐酸化する極めて珍しいキナーゼであることがわかっ
た (2)。それまでに、無数の蛋白キナーゼが発見されていたが、いずれもセリン
かスレオニン残基を燐酸化するものばかりで、チロシン残基を燐酸化するものは
全く発見されていなかった。そこで、「蛋白のチロシン残基を燐酸化する酵素
(チロシン・キナーゼ)が癌化の主原因ではないか」という考え方が分子腫瘍学
の主流になり始め、猫も杓子もチロシン・キナーゼを追いかけ回るのが学界のい
わゆる流行になリ始めた。実際、その後発見された発癌遺伝子産物の多くがSR
Cに類似したチロシンキナーゼ(SRCファミリー・キナーゼ)だった。

そこで、これらのチロシンキナーゼを特異的に阻害する薬物を発見、さらに開発
して、癌の治療薬として利用しようという努力が、1980年代中ごろから日本
や欧米のいくつかの研究室で開始された。その草分け的な存在は、我々の友人で、
イスラエルのヘブライ大学の有機化学者アレックス・レヴィツキーだった。後述
するが、彼の研究室で合成された、例えば、AG1478、AG825、AG8
79は、それぞれEGFレセプター(ErbB1)、ErbB2、ETKという
チロシンキナーゼに対する特異的な阻害剤である。しかしながら、チロシンキナー
ゼ阻害剤で、制癌剤として最も商業的に成功したのは、スイスの製薬会社「 ノヴァー
チス」が1996年ごろに開発した「グリベック」(STIー571)だった。
その薬剤は主に、ABL、KIT、PDGFRというチロシンキナーゼを阻害す
る薬剤で、オレゴン保健科学大学(OHSU)の臨床医ブライヤン・ドルッカー
との共同研究によって、2001年に米国のFDAから (ABLの異常活性化が
要因である) CMLと (KITの異常活性化が要因である) GISTという稀少
癌の治療薬として市販が許可され、「奇跡の薬」として世界中でもてはやされた
(3)。従来の制癌剤であるDNA毒やMT (微小管) 毒に比べて、ずっと副作用
の弱い、いわゆるシグナル (遮断) 療法剤(ST)の草分けである。しかしなが
ら、この薬剤が有効な癌、CML(慢性骨髄腫) とGIST (消化管間質腫瘍)、
はヒトの癌全体のわずか0。1%にも達しない。その他大部分の癌にはほとんど
無効である。従って、今後は、グリベックが無効なこれら大部分の癌に効く薬剤
を開発することが緊急課題として残されているわけである。

そこで、話題をこの本の主題である「PAK」というキナーゼへ戻そう。PAK
はチロシンキナーゼではない。いくつかの蛋白 (例えば、ミオシンの重鎖やキナー
ゼ「RAF」など) のセリンあるいはスレオニン残基を燐酸化するキナーゼであ
る。PAKファミリーキナーゼは、今日大所帯になったが、最初のPAKは1977
年に我々が米国のNIHに勤務中、ある土壌アメーバから発見した単頭ミオシン
の重鎖を燐酸化するキナーゼだった (4)。このミオシンATPaseは筋肉の双
頭ミオシンATPaseとちがって、重鎖が燐酸化されて初めて、アクチン線維
と反応して、ATPを分解し、その化学エネルギーを運動エネルギーへ変換し、
細胞の貪食運動や移動、分裂などに関与する。しかしながら、その後17年もの
長い歳月が経って、1994年に哺乳類に同様なPAKがシンガポール大学のエ
ドワード・マンサーのグループによって発見されるまで (5)、アメーバのPAK
は、癌学者からの注目をほとんど浴びなかった。それでは、哺乳類のPAKはな
ぜ、我々分子腫瘍学者の注目の的になり始めたのだろうか? 理由は以下の通り
である。

1980年前後に発癌蛋白「SRC」がチロシンキナーゼだと判明したころ、癌
学界ではもう1つの発癌蛋白が発見されつつあった。「RAS」と呼ばれるGT
Pase(G蛋白) である。ヒトの癌の30%以上に、このRASの変異 (異常
活性化) が発見された。特に、すいぞう癌の場合は90%以上、大腸癌の場合は
50%以上だった (6)。そこで、これらのいわゆる「RAS癌」をまず退治せん
として、RASによる癌化のメカニズムの解明研究が欧米で盛んに開始された。
そして、哺乳類細胞中にもPAKが発見された際、このキナーゼが (哺乳類でも
アメーバでも) もう1つのG蛋白群によって、活性化を受けることが判明した。
それは、RACとCDC42と呼ばれる蛋白だった (5)。やがて、発癌性RAS
がRACとCDC42とを介して、PAKを異常活性化することがわかった (7、
図1)。さらに、「RAS癌」の増殖にはPAKが必須であることが、ペンシルバ
ニア大学医学部のジェフ・フィールドや我々の研究室によって、明らかにされた
(7)。こうして、理論的には、PAK阻害剤によって、ヒトの癌の少なくとも3
分の1にあたる「RAS癌」の治療が、将来可能になったわけである。問題は、
誰が「猫に鈴を付けるか」、つまり、その「魔法の弾丸」であるPAK阻害剤を
いかに発見、さらに開発するかだった。マンサーもフィールドも、薬の開発には
全く関心がなかった。薬の開発は本来、製薬会社の仕事であり、大学の研究課題
ではないというのが、彼らのいわゆる「象牙の塔」的な哲学だった。そこで、今
世紀初めころから、(薬学出身の)我々自身の小グループが自ら、この大問題に
向かって、果敢に取り組まざるを得なくなった (皮肉にも、製薬会社の大部分は
当時、PAKの存在すら知らなかった!)。

以後10年近くの研究結果から、次のような驚くべき事実が判明した。まず、ヒ
トの癌の7割以上の増殖にPAKが必須である。乳癌、前立腺癌、すいぞう癌、
大腸癌、肺癌、肝癌、胃癌、子宮癌、卵巣癌、メラノーマ、脳腫瘍(グリオーマ)、
MM(多発性骨髄腫)、NF(神経線維腫症)、TSC (結節性硬化症 ) などが
PAK依存性の腫瘍である。さらに、癌細胞の分裂ばかりではなく、癌の転移や
固形癌の増殖に必須な血管新生にも、PAKが必須である (8)。後者の属性は極
めて、重要である。というのは、従来の制癌剤であるDNA毒やMT (微小管)
毒には、白血病など分裂速度の早い癌細胞の増殖を抑えることはできたが、癌の
転移や血管新生を抑える作用が全くなかった。