素人の手によるいわゆる「研究」には穴だらけが多い。実験的「確証」もないまま、
純然たる「仮説」を事実かのように主張する「悪書」(誤解をもたらす本)を売
りさばく著者がいたら、その道の専門家は、それを批判し読者に警告を与える社
会的な義務がある。しかも、裏で操作して、そのような批判を「ネットから勝手
に削除させる」出版社が出没し始めたら、尚更のことである。なぜなら、その出
版社は、その本の内容に「問題」があることを、既に自覚しながら、なお本を売り
続けているからだ。
さて、英国の有名な地球化学者(癌研究者ではない!)ジェーン・プラントが自
分の乳癌体験を綴った数年前のベストセラー英文著書「YOUR LIFE IN YOUR HANDS」
が、最近ようやく邦訳されて「乳がんと牛乳」というタイトルで出版された。彼
女の度重なる乳癌再発の原因が、なんと「牛乳」だったという意外な (しかも、
特に世界的「金融危機」に瀕して、酪農業者にとっては極めてショッキングな)
話である。
彼女の乳癌に関する研究 (?) 内容は、医学雑誌には一度も発表されたことがな
いし、彼女の癌に関する主張には、異論が多々ある。例えば、ネズミに牛乳を飲
ませて、乳癌の発生に成功したなどという報告は一例もない。従って、読者各々
が読後に、内容の「善し悪し」を自ら判断する必要がある。彼女自身が主張する
ように、自分の体 (病気) については、医者のいうことをそのまま鵜呑みにせず、
自身の判断に基づいて、ケアすべきだからだ。世の中には、(製薬会社と癒着する
) でたらめな薮 (やぶ) 医者が意外に多いのだ。
牛乳は元来、子牛の成長のための母乳である。だから、成長ホルモンや栄養が当
然タップリだ。赤ん坊の細胞はそれを吸ってすくすく成長する。しかしながら、
成人した我々の体では、正常な細胞は大部分成長が止まっている。例外は癌患者
の「癌細胞」である。癌細胞は栄養に飢えているから、牛乳の栄養を吸って増殖
を続ける。牛乳ばかりではない。カロリーの高い栄養食は全て、癌の栄養になる。
だから、癌患者は療養中、節食 (腹七分目) が必要なのだ。乳製品だけに限らな
い。
この本の訳者は、栄養医学者だが、癌には疎いようだ。「牛乳バッシング」的な
タイトル (結論) は、著者 (地質学者) および訳者の早計の至り (あるいは牛乳
のみに拘泥し過ぎる) としか言えない。
「肥満体 (あるいはメタボ) の患者の癌は治療しにくい」という癌の常識を、癌
患者は肝に命じるべきだ。過剰な脂肪が癌に栄養を供給し続けているからだ。そ
ういう(より巾広い) 視野から、この本を改めて読み直してみると、意外に有益
(得るところが多い) かもしれない 。
小説は多分例外だろうが、一般的に本というものは、特にノンフィクション物は、
読者の洞察力をそのまま反映する「鏡」のようなものである。もちろん、1を読
んで10を知ることができれば理想的である。1を読んで1しかつかめない(鵜
呑みする)ようでは、読者として失格である。得るものがほんのわずかだからだ。
10とはいわなくても、3から5ほど学ぶことができれば、かなり優秀だろう
(頭を駆使して「行間を読む」努力をしよう!)。
そうすれば、癌ばかりではなく、老化も防ぐことができる。なぜだろう? 脳と
は(使えばの話だが)体の中で(筋肉以上に)最も糖分を消費するところなので
ある。糖分を効率良く消費すると、余分な糖分で肥満、糖尿病、認知症(アルツ)
などの老化現象に陥ることを防止することができるからだ。
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