2008年11月19日水曜日

「乳がんと牛乳」(こみち書房)
気になる内容、どう読むべきか?

素人の手によるいわゆる「研究」には穴だらけが多い。実験的「確証」もないまま、
純然たる「仮説」を事実かのように主張する「悪書」(誤解をもたらす本)を売
りさばく著者がいたら、その道の専門家は、それを批判し読者に警告を与える社
会的な義務がある。しかも、裏で操作して、そのような批判を「ネットから勝手
に削除させる」出版社が出没し始めたら、尚更のことである。なぜなら、その出
版社は、その本の内容に「問題」があることを、既に自覚しながら、なお本を売り
続けているからだ。

さて、英国の有名な地球化学者(癌研究者ではない!)ジェーン・プラントが自
分の乳癌体験を綴った数年前のベストセラー英文著書「YOUR LIFE IN YOUR HANDS」
が、最近ようやく邦訳されて「乳がんと牛乳」というタイトルで出版された。彼
女の度重なる乳癌再発の原因が、なんと「牛乳」だったという意外な (しかも、
特に世界的「金融危機」に瀕して、酪農業者にとっては極めてショッキングな)
話である。

彼女の乳癌に関する研究 (?) 内容は、医学雑誌には一度も発表されたことがな
いし、彼女の癌に関する主張には、異論が多々ある。例えば、ネズミに牛乳を飲
ませて、乳癌の発生に成功したなどという報告は一例もない。従って、読者各々
が読後に、内容の「善し悪し」を自ら判断する必要がある。彼女自身が主張する
ように、自分の体 (病気) については、医者のいうことをそのまま鵜呑みにせず、
自身の判断に基づいて、ケアすべきだからだ。世の中には、(製薬会社と癒着する
) でたらめな薮 (やぶ) 医者が意外に多いのだ。

牛乳は元来、子牛の成長のための母乳である。だから、成長ホルモンや栄養が当
然タップリだ。赤ん坊の細胞はそれを吸ってすくすく成長する。しかしながら、
成人した我々の体では、正常な細胞は大部分成長が止まっている。例外は癌患者
の「癌細胞」である。癌細胞は栄養に飢えているから、牛乳の栄養を吸って増殖
を続ける。牛乳ばかりではない。カロリーの高い栄養食は全て、癌の栄養になる。
だから、癌患者は療養中、節食 (腹七分目) が必要なのだ。乳製品だけに限らな
い。

この本の訳者は、栄養医学者だが、癌には疎いようだ。「牛乳バッシング」的な
タイトル (結論) は、著者 (地質学者) および訳者の早計の至り (あるいは牛乳
のみに拘泥し過ぎる) としか言えない。

「肥満体 (あるいはメタボ) の患者の癌は治療しにくい」という癌の常識を、癌
患者は肝に命じるべきだ。過剰な脂肪が癌に栄養を供給し続けているからだ。そ
ういう(より巾広い) 視野から、この本を改めて読み直してみると、意外に有益
(得るところが多い) かもしれない 。

小説は多分例外だろうが、一般的に本というものは、特にノンフィクション物は、
読者の洞察力をそのまま反映する「鏡」のようなものである。もちろん、1を読
んで10を知ることができれば理想的である。1を読んで1しかつかめない(鵜
呑みする)ようでは、読者として失格である。得るものがほんのわずかだからだ。
10とはいわなくても、3から5ほど学ぶことができれば、かなり優秀だろう
(頭を駆使して「行間を読む」努力をしよう!)。

そうすれば、癌ばかりではなく、老化も防ぐことができる。なぜだろう? 脳と
は(使えばの話だが)体の中で(筋肉以上に)最も糖分を消費するところなので
ある。糖分を効率良く消費すると、余分な糖分で肥満、糖尿病、認知症(アルツ)
などの老化現象に陥ることを防止することができるからだ。

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