2008年4月20日日曜日

映画「背骨のある男」(Bone Man)

ごく最近、豪州の出版社から「Bone Man of Kokoda」という本が発売された。パプア・ニューギニア(PNG)で25年間、戦友の遺骨を拾い続けた「最後のサムライ」西村 幸吉 氏 (現在、88歳)に関する実話である。一気に読み終った。

著者チャールズ・ハプルはメルボルンに住む(豪州人)新聞記者。主人公である「エンジニア」西村 氏(当時22歳)は、1942年9月に自分の属する(高知県出身者を中心とする)歩兵小隊(56人)と共に、ココダ街道で豪州軍(約千人)と死闘を交え、戦場で自分を除く戦友全員を失う。戦地を離れる瞬間、(もし生還できたら)「戦後、この地に戻ってきて、君たちの霊を弔う」と誓った。

その後、台湾やビルマで死闘を繰り返し、原爆投下の直前に、高知県の病院へ幸い生還する。戦後10年の空白期を経て、ついに上京し、都内で「西村製作所」の営業を始める。「昔の誓い」を果たすため、60歳で会社をキッパリ辞め、息子たちに会社を譲ると共に、全財産を妻に譲り、戦友たちが果てたPNGの戦場に単身戻り、25年間にわたってバラックやテントに住み込み、ひたすら(戦場にちらばる)戦友たちの遺骨や遺品を拾い集め、日本の遺族に届け続けた。さらに、地元のPNG住民たちのために、学校や教会を建てるなどの慈善事業も続け、住民たちとの融和を図った。昔懐かしい映画「ビルマの竪琴」の主人公を想起させる、稀れにみる人物である。ちっぽけな小舟で、日本からPNGまで、嵐をついて、果敢に南海を渡る66歳の元老兵などドラマチックな場面がどっさり、映画化にはピッタリの作品だ。

できればこの夏、帰京の折、埼玉県加須市で娘(幸子)さんと暮らす西村さんに会い、映画化を見越した脚本執筆に関して、相談してみようと思っている。日本国内で邦訳 (本) がどれぐらい売れるかわからないが、(戦争を知らない)若者たちのために、ぜひ映画化したい作品である。「背骨のある男」(bone man)とは、一体どんな人間なのかを、知らしめる感動的な映画にしたい。

1 件のコメント:

Heidi さんのコメント...

一部 南方の戦闘
1。 頭蓋骨の発掘
2。 少年時代
3。 兵役(高知県歩兵部隊)
4。 ニューギニア遠征
5。 死闘の丘
6。 撤退
7。 飢えとの闘い
8。 家庭づくり
9。 東京で起業
10。敗戦を知らぬ残党兵
11。危機一発

二部 遺骨収集
12。南方へ帰還
13。遺骨の収集開始
14。隊長の弁当箱
15。目印「一本の椰子」
16。裸一貫の航海
17。遺骨のDNA鑑定
18。遺品(井戸水のポンプ)
19。金歯の頭蓋骨
20。現地での慈善事業
21。映画「硫黄島からの手紙」
22。今西さんの支援
23。戦没者遺族の会
24。娘(幸子)
25。エピローグ

映画の脚本:

1。 南方戦役、生還、原爆投下、敗戦(1945)
2。 結婚、転職
3。 上京、映画「ビルマの竪琴」(1956)
4。 長男(アキラ)の事故死(1966)
5。 敗戦を知らぬ残党兵(横井、小野田)(1972ー1974)
6。 PNGでの死闘(1942)、撤退、飢えとの闘い(悪夢の蘇り)
7。 退職、妻との絶縁(1979)

8。 PNGに戻る(1980)
9。 遺骨の収集開始
10。現地での慈善事業
11。八方破れの処女航海(1986)
12。目印「一本の椰子」(1989)
13。「千鳥が渕」戦没者墓苑(1995)
14。遺品(隊長の弁当箱、井戸の汲み上げポンプ)(1997)
15。金歯の頭蓋骨(1999)
16。帰国、映画「硫黄島からの手紙」(2007)