昔懐かしいミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」で大活躍した女優ジュリー・アンドリュースが、自身の若かりし日々を回想しながら、自分の「家庭」で起こった出来事を中心にして、独特なウイットを交えて綴っている。ちなみに、英文原書のタイトルは「ホーム」(我が家)。1935年にロンドンで生まれ、物心ついて最初に口にした言葉がなんと「ホーム」だったそうである。4歳のときに欧州では、ナチスドイツとの戦争が始まっていた。以来6年間、毎日のごとく、ドイツの爆撃機がロンドンの上空に現れ、空爆を繰り返した。彼女は、味方の飛行機と敵機を爆音の違いで、どちらが上空にきていることを聞き分ける特技を備えていた。だから、空襲警報が鳴る前に、敵機の編隊がやって来るやピーッと警笛を鳴らして、近所の人々に、洗濯や料理の最中に、防空壕へ駈け込むべきタイミングを知らせる戦時の特務を母親から与えらえたそうだ。
しかしながら、最初の「ホーム」は余り長続きしなかった。ジュリーが5歳になった頃に、とうとう両親が離婚し、母親バーバラが相棒のオペラ歌手、テッド・アンドリュース(愛称ポップ)と再婚することなる。こうして、新しい父親「ポップ」との第二の「ホーム」が始まった。1945年に第二次世界大戦が終了して間もなく、ジュリーは歌手としての才能を認められ、BBCのテレビショウにデビューする。こうして、彼女の70年近い歌手としてのキャリアがスタートしたのだ。
この回想録は1963年に彼女の最初の娘エマが生後半年のころ、教会で洗礼を受けるところで終わっている。母親になったばかりの本人がまだ28歳のころである。この年に偶々、ジュリーはウオルト・ディズニー映画「メリー・ポピンズ」に主演として初出演し、映画界でも大成功を収める。従って、近い将来、その続編が出版されることは間違いない。それを私は大変楽しみにしている。
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